先日、効率優先時代にこそ価値がある「新・会食論」というトークイベントに参加してきました。「アメリカン・エキスプレス×NewsPicks」のコラボレーションイベントの第3弾です。
「新・会食論」ということで「会食」にまつわるイベントなのですが、ぼくは「会食」自体、あまり経験したことがない気がします。そもそも人見知り・出不精で、人と会うことに積極的ではないってのもあります。
しかも、最近は、インターネットを使ったコミュニケーションツールも充実しているので、わざわざ出かけていって会わなくても用が済むし別に会わなくても、と考えてしまうんですよね。
でも、できるビジネスパーソンは「会食」を有効に活用してるっていうじゃないですか。イベントでいろいろと面白い話を聞いてきたので、その様子をレポートしますよ!
今回のイベントは、「会食」がテーマのトークセッションイベントです。
写真奥から、アメリカン・エキスプレス日本社長の清原正治さん、三星グループ(三星毛糸、三星染整、三星ケミカル)代表取締役社長の岩田慎吾さん、ヤッホーブルーイング代表取締役社長の井出直行さん。このお三方がパネラーで、&Co.代表取締役の横石崇さんがモデレーターとして進行をしていきます。
「会食」ってなに?
そもそも「会食」ってどういう意味、という話なんですが
【会食】・・・人が集まって一緒に食事をすること。※デジタル大辞泉より。
だそうです。まあ、そのまんまですね。
ぼくの中での「会食」のイメージというのは、高級料亭とかで高級料理を食べながら、商談やビジネスの話をする、という感じなんですが、どうも最近はそうではないようです。
アメリカン・エキスプレスの清原さん曰く、最後に料亭で会食したのは、いつだったか覚えてないくらい、料亭で会食はしないそうです。
で、だったら「会食」という行為自体が減ってるかな?
というわけでもなくて、調査によれば、接待費や交際費自体は、年々増加しているそうです。景気が回復傾向にあるのと、税制改正によるものではないかと。
ただし、交際費などの支出は増えつつも、約8割の人は仕事上での接待に対してあんまり良くは思ってないという調査結果が。
30代男女では、接待不要という回答者が56%。経営者の中にも接待不要論を唱えてる方も多いそうですよ。
といった内容のことを、モデレーターの横石さんが最初に説明してくださいました。ふむふむ。
ぼくも「会食」というか「接待」は積極的にやりたいとは思いませんねー。
ということで、ここからはパネラーであるビジネスリーダーのお三方のトークに移っていきます。
どんな「会食」してますか。
まずは、みなさんがどんな「会食」をしているか、というテーマからスタート。
「食」をフックに、知ってもらう。
岩田さんの三星グループの本社は岐阜県。ケータイに「地元の美味いもの」というフォルダを作って、岐阜の美味しいものの写真を入れているそうです。ウン、それは気になる。超見たい!
会った方にその写真を見せると「食べに行きたい。何日が会いていますか?」とわざわざ時間を作って本社のある岐阜に来てもらうことができることが多く、とてもメリットを感じているそうです。
ビジネスの話に関しては、メールやSkypeでも十分ってなりがちなんですが、食べ物に関しては、実際に足を運ばないと食べることができない。「食」をフックに地元に足を運んでもらうことができて、生地を作っている様子だったり、こういう水が出る場所で染められている繊維なんだ、というのを体感してもらえるのがとても良いんだとか。(三ツ星グループは、衣料向け繊維素材の企業グループ。)
「会食」というより、「懇親会」。
基本的に取引先や仕事上で関係のある方々とは、ワイワイガヤガヤと一緒にビールを飲む、というのが、ヤッホーブルーイングの井出さんのスタイル。
井出さん自身が「堅苦しいのが嫌」という方針で、接待もしないし、接待を受けない。
接待してくれるお金があるんなら、その分、仕入れ値を安くしてほしいよ!と思ってるそうです。
いつも「懇親会」にして、費用もワリカンなんだとか。
仕事の話は、ほとんどしない。
アメリカン・エキスプレスの清原さんは、「会食」で仕事の話はほとんどしないそうです。5分以上仕事の話をすると、気が重くなってお互いにまた会食したくないよね、って感じになるからだとか。
たしかにぼく自身も会社の「飲み会」に参加したことがありますが、業務時間じゃないのに仕事の話などをされるのはあまり好きじゃなかったですね。
という感じで、最初にイメージしてたような料亭で商談のような「会食」はみなさん、されないようですね。
直接的な仕事の話はせずに、「食」を通じてお互いを知る、というのがどうやら共通のポイントのようです。
警戒感を無くす、「会食」。
同じものを食べておいしさを共感し合うことで、お互いの警戒感が一気になくなるメリットがある、と清原さんはいいます。
「会う」って大事。
熱狂的なファンが多いことでも知られる「よなよなビアワークス」が大事にしているのが「会って話をする」ということ。チームづくりも、ファンづくりも、取引先の業者さんに対しても、同じように「懇親会」を通じて良い関係を築いているそうです。
一緒に「パン」を食べる仲間が「カンパニー」。
ごい衝撃を受けて。うちは、パンじゃなくて餅仲間なんですけど、そこは大事にしたいなと思っています。
この話は知らなかったんですが、ぼくも衝撃を受けました。目からウロコ。「パン」を一緒に食べるのが「カンパニー」。
もともと、「食事」をともにするから、「仲間」なんだ、という。
仕事って不必要に「緊張」する
たしかに、仕事だと多少なりとも緊張感はありますよね。緊張感がないのもダメかもしれませんが、緊張しすぎも良くない。
食事は緊張をほぐす「舞台装置」。
清原さんによれば、「食」を通じて、緊張をほぐすことができると。同じ社内だとしても、お互いの緊張がほぐれた状態のほうが意見を交換し合えたりしやすそうですよね。
清原さん自身、アメリカン・エキスプレス社内でも年間40日くらい「ラウンドテーブルランチ」と称して、社員の方と会議室の円卓で一緒にお弁当を食べながら、みんなで親睦を深めるというような取り組みをしているそうです。
みなさんにとって「会食」とは?
イベントは、白熱するトークであっという間の1時間が過ぎました。
最後に、パネラーのみなさんが「会食」をどう考えているか、伺いました。
会食っていうのは「会」うっていうのがすごく重要だと思います。会って、一緒のものを食べて、お互いが良くなるっていう。良い言葉だと思うし、良い機会だと思うので、今度から「飲み会」じゃなくて「会食」しようって言おうと思いました。
お互いを知るために、実際に「会」って話すのが大事。そのフックとしての「食」の重要性。これをパネラーのみなさんのお話から学んだ気がします。
参加者全員で、「会食」。
イベントの最後には、全員で食事をいただきながらの立食パーティー形式の「懇親会」。参加者のみなさん、パネラーのみなさんとの親睦を深めていました。
ぼくはけっこうな人見知りなんですが、せっかくの「会って話せる」機会なので、がんばって参加者の方に声をかけて、色々お話させていただいて楽しかったです!
「会食」というと、お堅いイメージや、必要ない、と思っていた方もいるかもしれません。ぼくもイベント前はかなりそう思っていました。
が、今回のイベントで「会食」を有効活用しているみなさんの話を聞いているうちに、「会う」ことの重要性、「食」を通じて関係性を良くしていくことのメリット、というのが分かってきた気がします。
メールやチャットツールなどで実際に会わなくても用事が済んでしまう現代だからこそ、余計に「会う」ことの価値が高まっているようにも感じます。わざわざ「会う」という価値も生まれるわけです。これがまさに「新・会食論」でしょうか。
「会食」というものに対して「食わず嫌い」だった方も、あらためてその有用性について、考えてみても良いかもしれませんね。
コメント